Name
ホーム 食べ物 渡り 子育て 飛行 行動・生態 連絡先 リンク サイトマップ 検索
ホーム > 13. オオヒシクイのオスとメスはどうやって区別するのですか。前 - 次

 オオヒシクイを含むガン類は、オスメス共に羽の色が同じで外見からは区別できません。それはハクチョウにも共通した特徴(とくちょう)です。同じ科に属していてもカモは、ガンやハクチョウとは異なり、繁殖(はんしょく)の時期にだけオスはメスと違う色の羽を持ちます。

「総排泄腔」の内側

★★ 解説 ★★
 外から見た範囲(はんい)では区別できないと書きました。正確に知るためには「総排泄腔」(そうはいせつこう)の内側を見て、生殖器(せいしょくき)をたしかめる必要があります。しかし、オオヒシクイの群れの中に他から少し離れたグループがいて、それが明らかに家族と分かった場合は、行動を詳しく観察することでオスメスの見当をつけることが可能になります。
 まず、15番の成鳥と幼鳥の見分け方を参考にしながら、親鳥と幼鳥を区別します。たいてい一つの家族には2〜6羽の幼鳥がいて、他の2羽が親鳥ということになります。次にその2羽の大きさをよく見比べます。体が大きく、また首を伸ばして周囲の様子を見ている時間がもう一方より長いようですと、それはオスと考えられます。また、家族から少し離れた場所に立って警戒(けいかい)をしていたら、やはりオスの可能性大です。さらに、体の下側、胸からお腹の部分をよく見て下さい。メスは卵を温めている間、お腹の羽が抜けて地肌が現れます。そしてヒナが孵化(ふか)した後にそこだけ新しい羽が生えてきます。これを「抱卵斑」(ほうらんはん)といいますが、この新しい羽の部分はもちろんメスにしかできません。「抱卵班」(ほうらんはん)の有無も重要な識別のポイントとなります。
 繁殖地(はんしょくち)への渡りが直前にせまる頃、もう一つ有効な方法があります。お尻からお腹のあたりの線を見ると、ただ単に丸くなっただけでなく、両脚の間がふくらんで垂れ下がっているように見えます。体の中で卵を産むための準備が進んでいるのでしょう。また、鳴き声ではオスがメスより高い声を出すことが知られています。
 標識調査に参加したとき、あるロシアの研究者はマガンの横顔を見ただけでオスメスをだいたい当ててしまったのには大変驚きました。多くのガンを見ているうちに、それぞれの特徴を直感的につかんだのだと思います。一般にメスは体が小さく、嘴(くちなし)や首が短めである以外に、なんとなく丸みを帯びた優しい顔つきをしているのだそうです。
Copyright 2005 Toshio Ikeuchi. All rights reserved.

Top][ホーム

前 - 次