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ホーム > 21. オオヒシクイはどこから卵を産むのですか。前 - 次

 「総排泄腔」(そうはいせつこう)というお尻の穴からです。この穴からオシッコとフンが一緒になって出てきます。また、交尾(こうび)もこの穴を通して行います。出口がたまたま一つで、体の中ではちゃんと別々の器官になっています。オスの生殖器(せいしょくき)も「総排泄腔」(そうはいせつこう)の内側に、短い蛇(へび)がトグロを巻いたように収まっています。

★★ 解説 ★★
 鳥は空を飛ぶ動物で、体の中をできるだけ軽く、単純にするよう進化してきました。そのせいか、右側の卵巣は退化してしまい、左側だけが機能します。オシッコをためておく膀胱(ぼうこう)さえありません。体の中からオシッコ・フン・卵の何でも出す穴が、読んで字のとおり「総排泄腔」(そうはいせつこう)です。体から熱が逃げて行く場所をできるだけ減らした結果だと思います。
 卵を見るたびいつも、生命の神秘さを感じます。どうやってあの硬い殻をもった卵の中に黄身と白身を入れるのだろう? いつ卵子は精子と一緒になるのだろうか? などなど、考えると不思議なことばかりです。卵一個の中にあらゆる遺伝情報と必要な栄養分が入っていて、それを一月弱温めるだけでヒナが生まれ、それが二ヵ月後には大空を飛べるまでに成長するのですから、本当に鳥は不思議な生物です。
 感心してばかりいないで、少しはその謎(なぞ)に迫ってみましょう。
 メスの生殖器である輸卵管は、先がろうと(漏斗)状になっている一本の管で、上から順に漏斗部、膨大部(卵白分泌部)、峡部(きょうぶ)、子宮部(卵殻腺部)、膣部(ちつぶ)と名前がついています。漏斗部の上に卵巣があり、膣部(ちつぶ)の下が総排泄腔(そうはいせつこう)に続いています。卵巣には卵子のもとになる小さな細胞がブドウの房のように集まっています。肝臓(かんぞう)から運ばれてきた脂肪分がその一つに付き、卵胞が脂肪で黄色に大きくなると、卵巣を離れて輸卵管(ゆらんかん)の漏斗部に入ります。輸卵管(ゆらんかん)の上のほうで、総排泄腔(そうはいせつこう)から上ってきた精子と受精します。受精後、膨大部を経ながら卵白が卵黄の周りにくっ付いていきます。子宮部で、カルシウム分を含んだ液が卵白の周りに分泌(ぶんぴ)され、最後に膣部(ちつぶ)で紫外線を吸収する特殊な粘液を卵殻の表面に塗りつけて卵は完成します。殻の表面に班点のある卵では、やはり膣部(ちつぶ)で模様を転写します。大雑把に例えると、お饅頭(まんじゅう)をつくるのと同様、芯のあんこ玉(卵黄)を白アン(卵白)で包み込み、最後に薄カワ(殻)をかぶせて焼印を押して出来上がりです。総排泄腔(そうはいせつこう)を出たばかりの卵はまだ完全に殻が硬化していませんが、じきに硬くなります。こうした複雑な行程が平行して進み、ほぼ36時間ごとに卵が産まれます。
 産卵期間中、オスは交尾(こうび)を繰り返し試みますが、精子の寿命はおよそ10日あり、またメスの漏斗部、子宮部と膣部(ちつぶ)の間に精子を一時的にたくわえる管があるので、必ずしも毎日交尾する必要はありません。排卵のつど精子貯蔵管(ちょぞうかん)から精子が出され、受精しなかった正常な精子は再び貯蔵管(ちょぞうかん)に戻されます。精子の受精能力が長い鳥として、七面鳥(46〜52日)、キジ(22日)、ニワトリ(10〜14日)などが上げられます。
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