4個から7個程度です。初めて繁殖(はんしょく)する若いガンや、栄養条件の悪い年には、それより少ないかもしれません。
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★★ 解説 ★★
オオヒシクイの巣や卵が実際に見つかっていないので、ひとつの家族に含まれるヒナの数をもとに考えてみます。1999年の調査では、合計で八つの家族を確認しました。そのうちのひと組は、親が離れていたためかヒナしか見つかりませんでした。家族ごとのヒナの数を書き出すと、少ない順に、2、3、4、4、4、4、5、6となります。平均でちょうど4羽です。中にはヒナが生まれてから2週間近く経ったと思われる家族がいて、その間に何羽かのヒナが死んでしまった可能性があります。また、卵を産んでもヒナがかえらなかったり、カモメやカラスに盗まれるなどしたため、実際の卵の数は、ヒナの数より一、二個多いかもしれません。
13.の解説の中で「生きているうちに一羽でも多くの子孫を残さなければなりません」と書きました。基本的にそれは他の鳥や動物でも同じです。ところが緯度の高いロシアでは夏が短く、ウロウロしていると、ヒナが飛べるようになる前に夏が終わってしまいます。南へ渡るときから逆に計算すると、あまり時間的な余裕はないので、春は少しでも早く繁殖地(はんしょくち)に戻ってきて、たとえ雪が完全に解けなくても産卵を始めます。雪の中に埋もれながら卵を温めることもあります。
ガンはおおよそ三日で2個の卵を産みます。一日半に1個の割合です。平均の4個を産むのに四日半、7個産むのには九日必要です。また、抱卵班(ほうらんはん)(13.の解説参照)の大きさからみて、数が多いと一つの卵に伝わる熱が少なくなり、あるいはムラになったりして、結局抱卵(ほうらん)期間が長引いたり途中で胚(はい)の発生が止まったりします。温め始める前の卵の寿命の面からも、受精・産卵後10日以内に抱卵を始めないと、胚の死亡率が高まるといわれています。熱効率・時間・死亡率などの面から、4個から6個ぐらいがもっとも理想的と考えられます。
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