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ホーム > 19. オオヒシクイはどんなところに巣を作るのですか。前 - 次

 野外で本物の巣は2004年現在、まだ見つかっていませんが、「タイガ」と呼ばれる森の中で、木の根本に作ると思われます。

オオヒシクイの巣

★★ 解説 ★★
 オオヒシクイがカムチャツカで繁殖(はんしょく)している確かな証拠(しょうこ)は、1999年になってやっと得られたばかりです。そのときは、一組の親が生まれた直後と思われる五羽のヒナを連れていました。ヒナは飛べませんから、親子が見つかった川のすぐ近くで繁殖(はんしょく)していたのは間違いありません。川幅は2-3m、深さは50cm前後で、人が歩いて渡れる程度のゆるやかな流れです。川の上にはヤナギやカバの木の枝が左右から伸びていて、空をすっぽりとおおい隠すように茂っています。上空から見ると、水面は少ししか見えません。また森の中には何本もの細い川が複雑に流れています。見通しが悪いことも重なって、迷路のように入り組んでいます。木の幹を見ると、地上から50cmほどのところに草や木の枝が引っかかっていて、雪がとける頃には水位が急激に変化したことが分かりました。
 オオヒシクイがカムチャツカの増殖施設で1998年に初めて繁殖(はんしょく)したので、そのときの例を参考にして森の中を捜したのですが、うまくみつかりませんでした。
 施設では、水際から2mのところに生えている木と木の間に、茎(くき)や葉を土台にしてマウンド(高さ約20cm、外径68×70cm)を作り、その中央部に直径19cm、深さ10cmの丸い窪(くぼみ)みを設けました。内側に自分の胸のダウンを敷き詰め、保温とクッション材にします。巣をマウンド状に盛り上げるのは、ハクチョウの仲間によく見られる方法です。また、水位が増しても水に沈まないような場所を選んだ上で、巣そのものを高くしているのだと思います。木と木の間を選んだのは、下に根が張っているので地面が固く、水の勢いによって地面が崩れる心配が少ないせいかもしれません。
 繁殖(はんしょく)の相手を決めるための儀式や巣づくりの方法は種ごとに本能で決まっているので、恐らく野外でもこれと同じような位置や形だと思います。近い将来調査を行って、巣や卵の発見に努めたいと考えています。
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