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ホーム > 12. オオヒシクイはカムチャツカに帰る途中で休まないのですか。前 - 次

 国内では、越冬地から北海道まで移動する途中何ヶ所かに立ち寄ります。北海道を出てからは、休むのにふさわしい場所がないので、一気にカムチャツカまで飛んでいくものと思われます。

オオヒシクイの群れ

★★ 解説 ★★
 オオヒシクイは日本にくるガンの中でも、比較的繁殖地(はんしょくち)が近くにあるほうです。例えば、北海道からマガンの繁殖地ま(はんしょくち)では3300Km以上離れているのに対し、北海道とカムチャツカ半島の間は最短で1000Kmしかありません。オオヒシクイの実際の繁殖地(はんしょくち)まではもう少し距離があるとしても、マガンの半分以下です。また、北海道を出たあとは、カムチャツカ半島までずっと海が続いていて、休んだり栄養を補給(ほきゅう)するのに適した場所がありません。11.の質問で答えたように、北海道とカムチャツカ半島の間の話に限定すると、オオヒシクイもマガン同様いっぺんに海を渡っていくものと思われます。
 しかし、越冬した場所から考えると、例えば滋賀県の琵琶湖から一気にカムチャツカまで帰ることはありません。昼間の時間が徐々に長くなり、一日の平均気温が高くなって雪や氷が解け出すのにあわせて、北へ上がって行きます。石川県加賀市の鴨池、新潟県大潟町の朝日池、同県豊栄市の福島潟、山形県鶴岡市の大山池、秋田県大潟村の八郎潟などはオオヒシクイの越冬地にもなっていますが、それより南で冬を越したオオヒシクイが途中で休む場所にもなっています。その後は青森県弘前市の砂沢溜池などを経て北海道まで移動します。国内の移動では、それぞれの中継地に立ち寄る期間はそれほど長くありません。例えば秋田県能代市の小友沼では、2001年の3月20日をまん中にした一週間の間に5550羽のヒシクイ・オオヒシクイが来ては出ていきました。日本最後の中継地である北海道では、約一ヶ月半にわたってオオヒシクイが滞在し、カムチャツカまでの長旅に備えてエネルギーを十分にとります。特にメスは直ぐに産卵の時期を迎えるので、飛行のためのエネルギー以外に卵になる栄養分も蓄えなければなりません。そのため、渡りの前と産卵後では体重が三割、抱卵後では四割近くも減るといわれています。
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