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ホーム > 50. オオヒシクイのために、ぼく達ができることは何ですか。前 - 次

 オオヒシクイが今いる環境をこれ以上変えたり、人間が不用意に邪魔(じゃま)をすることのないように注意することです。そしてオオヒシクイの行動をよく観察して、今どんな問題がオオヒシクイの生活に悪影響を及ぼしているのか見極めた上で、その原因を取り除くことです。

★★ 解説 ★★
 オオヒシクイは野生の生きものですから、家畜のように人間がエサを与えたり、家を作ってそこに収容したり、車や飛行機で北から南へ連れて動くわけにはいきません。人間が常に手をかけないと暮らせないのでは、もはや野生の生きものとは違います。もしそうだとしたら、それは鳥に非があるのではなく、環境を破壊(はかい)してしまった人間に責任があるのだと思います。鳥が自然の環境のもとで落ち着いて暮らせるようになるにはどうしたら一番よいのか、考えながらじっと観察してみて下さい。
 オオヒシクイには丈夫な嘴(くちばし)と長い首、短めの脚(あし)に水かきがついています。8番の解説で書いたように、野生の生きものは食べることが一番大切な仕事で、本来好む自然の環境は「職場」、嘴(くちばし)や首は「道具」です。オオヒシクイの商売道具は生まれつき体に備わっているものですから、職場が変わったからといって交換する訳にはいきません。条件のよい職場がある限り転職や失業の恐れがない分、職場がなくなった途端に食べていけなくなります。銀行からお金を借りることも、失業保険で数ヶ月食いつなぐこともできません。体力が残っていれば、似たような職場を求めて他に移動します。
 オオヒシクイの暮らしをつぶさに見つめ、オオヒシクイの立場になって「何が必要で、何がいらない」のかをよく見定めていただきたいと思います。「自分だったらこうしてあげたいのに....」では、得てして人間の生活様式や価値観の押し付けになりがちです。自己満足に陥(おちい)ることのないよう、澄んだ目と耳でオオヒシクイを観察していただけたら幸いです。
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