判断する方法が簡単には見つからないので断言できませんが、越冬中(えっとうちゅう)の動きを見ると、陽気なものと心配性のオオヒシクイがいるように思います。
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★★ 解説 ★★
八月の下旬になるとすでに北海道に姿を現しているオオヒシクがいます。一方で、十月になるまでカムチャツカにとどまっているオオヒシクイもいます。この間約二カ月の差があります。最近ではカムチャツカで越冬する個体もいると聞きました。実際にその情報を確かめたわけではありませんので、真偽(しんぎ)の程は分かりません。
また北海道から南下するときも、越冬地(えっとうち)まで一気に渡っていくものと、何ヶ所か中継地に寄りながら徐々に下がっていものがいます。越冬期間中の動きでは、一箇所に張り付いたまま春まで全く動かない鳥と、小刻みに移動を繰り返し、寒気が少し緩むと北に上がり、又寒さがぶり返すと南に戻るような神経質な動きを示す鳥もいます。
話はかわって、標識調査のときの様子をお話します。ガンを一羽ずつ囲いから出して標識をつけたり写真を撮るのですが、一連の作業が終わるまで大人しくジッとしているガンと、絶えず人間のどこかをかじったり突付いたりして、最後まで抵抗を試みるガンがいます。標識をつけた後でも、気にするものと諦(あきら)めのよいものがいます。
こうした行動の違いは何によってもたらされるのか、なかなかその背景に迫るのは難しく、理由はハッキリしません。強いてあげるとすれば、やはりそれぞれのガンの性格によるところが大きいのではないでしょうか。もしかしたらそうした一羽一羽の行動原理は、親の性格や遺伝子から影響を受けているかも知れません。ガンの性格を調べるのによい方法があれば、きっと面白い研究ができるはずです。
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