「瞬膜(しゅんまく)」という透明な膜が眼球(がんきゅう)の表面を覆い、ちょうど水泳用のゴーグルをかけたのと同じように、水の中でも物が見えます。まぶたは下から上に向かって閉(し)まります。
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★★ 解説 ★★
この瞬膜(しゅんまく)は人間にもその名残(なごり)があり、眼球(がんきゅう)の内側の目じりにピンク色をした瞬膜(しゅんまく)がわずかに残っています。それ以外にも、盲腸(もうちょう)や尾骨(びこつ)のように、ほとんど機能しないのに痕跡(こんせき)をとどめているものがいくつかあります。動物は同じ祖先から進化してきた証拠(しょうこ)といえ、使う機会がすくないものは次第に退化(たいか)したようです。
瞬膜(しゅんまく)は水に頭を突っ込む時以外に、何かにぶつかりそうになった場合や、眼球に潤(うるお)いを与えるときにも、一瞬自動車のワイパーのように現れます。オオヒシクイはよく岸辺で顔を泥の中に入れてマコモの根を掘り出していますが、このとき瞬膜(しゅんまく)は閉じるのかどうか、実際に確かめる方法がありません。瞬膜(しゅんまく)で覆(おお)っても泥の中では物が見えないので、まぶたを閉じてしまうのかもしれません。すると、マコモの根は嘴(くちばし)や舌の感触で探り当てているのでしょうか。オオヒシクイの体には、人間にはない様々な機能がひそんでいるようです。
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