一日に数十分だけ巣を離れて、すぐ近くのスゲやイネ科の植物の茎(くき)や葉を食べます。
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★★ 解説 ★★
卵を抱いている間、メスは一日のごく短い時間を採食にあてます。しかもその時間帯は明るい日中ではなく、あたりが薄暗くなった頃に集中しています。近くに生えているものを食べるので、巣の周りからだんだん草がなくなってしまいます。だからといって、あまり遠くまではいきません。
抱卵(ほうらん)期間中に食べた総量はどのくらいかを推測(すいそく)する一つ目安があります。メスはたいてい同じ方向を向いて卵を温めています。すると、総排泄腔(そうはいせつこう)は頭と逆の方向を向いたままになり、巣の端にメスの出したフンが山のようになります。巣を離れる時間はわずかに数十分で、その間に食べたものはフンにはならないので、巣の端に積まれているフンが期間中に出した全ての分量になる計算です。
採取したフンの重さ×フンの中に含まれる食物繊維の割合
もとの植物に含まれる食物繊維の割合
上の計算式によって、食べた植物の総重量を推(お)し量ることができます。何を食べたのかは、フンの中からでてきた植物細胞の組織を顕微鏡で見て種を特定します。マガンは越冬期間中に一日でカリントウほどの長さ・太さのフンを150個するといわれます。恐らく抱卵(ほうらん)期間中の全てのフンを集めても、越冬期の一日分には及ばないのではないでしょうか。
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