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ホーム > 6. オオヒシクイはヒシの実以外に何を食べますか。前 - 次

 オオヒシクイが好む自然にある食べ物は、マコモという植物の根です。

マコモ
(マコモ)


糞内容物(マコモ根茎隔壁 ×80)

★★ 解説 ★★
 マコモとは、沼や川岸に生えるイネ科の多年生の植物で、たいてい大きな群落をつくります。温暖な平地では、四月の上旬に芽が伸び、七月下旬から九月の上旬にかけて花がさき、十一月の頭には地上部が枯れて倒れ始めます。背は高いもので2mほどに達します。葉は細長く、1mになることあります。穂の長さは40-60cmで、円錐形(えんすいけい)をしています。マコモの種子は「Wild rice(野生のイネ)」として、北アメリカの一部では食用にされています。しかし、オオヒシクイが好むのはマコモの穂の部分(種子)ではなく、地下で横に伸びている根の部分です。マコモは種子と地下茎(ちかけい)の両方で繁殖(はんしょく)する植物で、地上部分が枯れても地下の根は生きていて、翌春に芽を出すために養分を蓄えています。オオヒシクイはその根っこが大好物です。細い竹の子を水煮にしたような感じで、中国では食材に用います。話はそれますが、その中に黒いカビが自然に繁殖することがあり、その胞子を集めて「マコモズミ」にし、化粧品(主にまゆを濃くする)として昔利用していました。
 雪や氷などの気象条件、あるいは環境破壊などによって本来好む食物がとれない場合は、田んぼが川や沼に代わる重要な採食地となります。刈り取り後のイネの茎や根、落ちている穂、秋に再び実った二番穂などを食べます。また、水田が雪に覆われた時には、畔(あぜ)に生えているシロツメクサ(別名クローバー、マメ科)やスズメノテッポウ・スズメノカタビラ(共にイネ科)などを食べます。特にスズメノテッポウとスズメノカタビラは、秋に多く発生し若々しい緑色の状態で越冬するので、食べ物の乏しい時には貴重な存在となります。
 また秋と春の渡りの時期に、北海道の牧草地ではシロツメクサなどの外来の牧草を、畑地では捨てられたトウモロコシやジャガイモを食べているのが観察されています。ヒシクイは麦畑で若い芽をついばむことがありますが、オオヒシクイではそのような例は報告されていません。
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